木と漆喰と三世代の家



庭石や植木も配置され、植木屋さんの技量に
建物も引き立ちました。
見事な庭です。


完成後、雨の日に撮影しました。
三州瓦の銀黒がしっとりと濡れていて、
何とも言えぬ「和」を醸し出していました


この間、約、5ヶ月余り、充実した日々が続きました。
施主様には感謝しています。
今日から、少しずつですが次の建築に向け勉強を重ね行きたいと思います。有り難うございました。

    

多くの職人さんと、問題を幾つも解決してきました。
多くの経験を重ね、さらに、施主さんの希望を叶えたいと思います。


   


ちょとお洒落に、和瓦を切り取り、研きだしに
埋め込みました。
経験と余裕が生み出す技です。


自然石の配列ですので、一日、何個も配置できません。
職人さんは、時間に追われては出来ません。
まして、施主さんも同じ事と思います。


     

車庫入り口も格子引き戸を、自作致しました

格子戸も荒く、自作してみました。

  

繊細な格子塀も考慮したのですが、
敷地が広いので菱、の横太格子にしました。

   

   



外構工事の基礎部分の工事です。


   

一階部分が広いと、中央部分の部屋はどうしても自然光が不足しがちです。日本家屋独自の陰影が
強調できる間取りかと思います。


   

六帖と八帖の無垢天井板です。
六帖天井板は幅狭を選び色合いの差を強調しました。
八帖は二重竿縁を、取り入れました。



   

襖は鳥の子、紙貼り障子は荒格子、欄間は通風を
考慮し透明ガラスを入れませんでした。



床の間、少し崩してみました。


   

造作材、床、柱、天井材、家具、全て仕上げに溶剤は(ぺんき)は使用していません。木地で仕上げて有ります

二階階段と、広間は珪素土の壁です。

   



   

    

内部の建具も入りました。
建具も、建具屋さんの意匠を取り入れました。
無垢の突き板ですが、特注です。

   

       

 ”ついに完成です。

   

足場が外れ、外構工事が始まるところです。

外構工事、塀の部分に格子塀の下拵えです。

京壁の中に藁(わら)を混ぜました。
初体験の工事ですが侘び、寂びが表現されたようです。
混入する藁は餅米の藁が良いそうです。
左官屋さんの職人さんが教えてくれました。
勿論、年老いたプロです

   


漆喰塗りですが、鏝跡を消すのはかなりの経験が必要です。

外壁はリシンの掻き落とし、内部は漆喰と京壁、珪素土を塗りました。


   

  

外壁断熱材に、グラスウールを使用しています。
近年、建物全体に吹き付けによるセルロース、発泡スチロールの
断熱材が使用されていますが、まだ、疑問点が多く使用には至っていません。

   


   

目透かし天井の工事中の天井裏です。
見付け(見えるところ)をシンプルに表現するため
その裏では、手の混んだ仕口が必要です。

目透かしに加工した、無垢の杉板天井板です。

  


   

手作業に、頼る工程です。
木の目、木質を読みながら施工していきます。


   


和室の天井板です。産地は不明ですが木目が揃っていますので
かなりの大木と思います。

   

玄関の下駄箱の天板に使用した、脂松(やにまつ)の無垢板です。
柔らかい木目が特徴です。

   

階段の妻板を加工しています。
寸法取りが難しいですが、節の位置や木目の取り方が
好みに決められます

リビングとキッチンの間の吊り壁を撤去しましたので
耐火板を天井全体に施工し、杉板を張り始めたところです。

   

機械加工が出来ないため(材料が大きすぎて機械に入らない)
手鉋で仕上げました。

製材後、経過年数は不明ですが、汚れを削り落とすと
見事な年輪と、赤身が出てきました。

   

玄関の式台に使いました。
材質は欅です。

杉板下地に、ラス網を張りモルタルを塗り込みます。
最近、この外壁工法が見直されています。
しかし、掻き落としまではいかないそうです。

   

リシン掻き落としを外壁に施工する予定ですが、
五十年も経つと、雨露が当たる外壁の下部分は、
崩れ始めます、その時に、腰壁を施工して置けば
その部分の、交換だけで再生致します。
新建材と違い、木曽檜ですので何年経っても再生可能です

   

  

   

軒裏にも杉板を使用致しました。
杉の原板を2,3年乾燥後、自社加工致しました。
既製品とは違った雰囲気が出ます。塗装はいたしません。
新建材とは違い、経年変化はありますが劣化は有りません。
つまり、再塗装の必要は有りません。
水洗いで充分だと思います。

   

   

敷居の取り付け仕口です。
ビス止めなら簡単でいいのですが?

筋交いの取り付け作業です。
構造金物に頼るのではなく、出来るだけ木材同士の
接面部分が多くなるように、工夫しています。
当然、手作業が多くなります

まだ、棟を乗せて無く未完成ですが、
三州瓦の美しさが、際だつ姿です。
雨に濡れると格別の表情を見せます。


焼き瓦ですので、一枚一枚、癖を取りながら並べていきます。


  

防水紙を敷設したところです。
防水紙の性能は格段の進歩を遂げています。
屋根野地作業が非常に楽になりました。
昔は、杉の薄い板を一枚一枚止めていったのです。

野地板(瓦下地)も内地杉板を使用致しました。
コンパネベニヤですと作業が早いのですが、劣化が激しいので
杉板を使用しました。

  





   

   

建て方作業です。

工程上、先行足場が可能であれば安全のため足場工事を行います。

    

技術は残して置けば、次の世代の若い職人さんが引き継いでくれるのです。
私もそうでした。
誰に聞いたのでもなく、いつか、自分が請負師になって、やってみたい仕口と
長い間、温存してきたのです。 

施主さんには、感謝の極みです。

   



    

梁の継ぎ手と違い、金輪継ぎと言います。
将来、土台が腐敗したときその部分だけを交換できる
古人の知恵です。

建築物で腐敗しやすい部材はやはり土台です。

土台敷き、番付(住所?)を追いながら各所に配置していきます。

   

柱の削りが終わり、養生紙で保護します。

真壁の部屋が(柱が露出している)多かったので、
削りに時間がかかりました。


作業場全体が桧の香りが充満しています。


   


柱は全て桧で揃いました。

基礎立ち上がり部分の生コン注入作業です。

   

   

各、柱の仕口を刻んでいるところです。

   

荒木の状態に、鉋をかけると節の色艶が明らかに違います。
一手間かけることにより、桧、本来の生き節が出てきます。

   

材木の端切れ材で、寒さをしのいでいます。
灰は、近所の家庭菜園に肥料として使っていただいています。

ただ、町中では、排煙等の配慮が必要と思います。
山小屋風の建築も近隣の状況では、ただの、山小屋風の建物に
なってしまいます。
一番のエコなんですがね?


  

大梁、屋根は瓦ですので大口径の柱を用意しました。

大広間に五寸、六寸柱は使えますが、
狭い廊下に四寸柱では普段の生活動線に支障が出るのでは。
柱も太ければいいのではないと思います。



  通し柱のの背割りに楔を入れて柱の変化を止めます。

この背割りは製材行程で乾燥後の商品価値を落とさないための作業ですが、私はすこし疑問視しています



柱の修正作業です。

3年ほどの自然乾燥期間中に柱に狂いや歪みが出てしまいます。
その狂い等を修正するのですが、この作業は電動工具を使用します。

歪みを発生させる為の乾燥期間でもあります。
将来の、家の為であればひとつも無駄な時間とは思いませんが。

中には、柱としては使用不可能まで歪んでしまう物もあります。


  

   

柱の墨付け作業です。

  

この作業も電動工具では、仕上がりません。
以前、それらしき電動機械ができたのですが、いつのまにか手道具に
戻っていました。

    

兜作りとゆうそうです
形状がそれらしく見えます。

屋根瓦を支える松梁の作業です。
地松と言われ茨城産と思われます。
松食い虫の被害に遭い良木が枯渇しつつあります。
植林事業も思うに任せず、将来が心配です。

     

作業場では、梁算段(はりさんだん)が始まります。

生コンの注入工事です。
水の分量の割り増しもこの作業時点では不可能です。
工場出荷時に設定を変えなければなりません。
膨大な出荷量であれば採算が取れるでしょうが
20立米ぐらいでは時間の無駄以外は考えられません。



生コンが緩いか(水分が多い)はこの工事人に聞くのが一番確かです。
但し、真夏の日中は熱によるひび割れを防ぐため、水を撒くことはあります。

  

土間部分の生コンは一気に打設します。

   

良く聞く、手抜き工事を実行するには
よけいに手間暇がかかってしまい我々には無縁のことです

  

シート敷設後、僅かで結露が発生しています。
床下の湿気が今後、遮断されます。


   

鉄筋組です。犬走りも一体化の配筋にしましたので
かなり強固な基礎工事になります。


三十年以前からベタ基礎工事の時は、
全面に敷き詰める防湿ビニーシートです。
シロアリ、湿度等に効果は絶大です。

低圧振動を与えより割栗の状態を安定させます。

平行して、基礎工事が始まります。


  

割栗石の配置、約15p前後の栗の実型に砕石した石を一個ずつ縦に並べていきます。

  

建物の加重、地震の震動の吸収に役立ちます。

  

割栗石が倒れたり、移動を防ぐため、通常の砕石を敷設いたします。
(目つぶし)と呼びます。
なにもの勝る古人の普請の知恵です。


   

厚さ12p*背36p*長さ4b  追っ掛け大栓継ぎです。


   



   

何度も修正を加え組まれた状態です。
約4bの材が2本で約7bの長さになります。
この前後に継ぎ足すことも可能です。



外注に発注すれば(プレイカット)僅か2.3日で製作可能ですが。




  横架材です、広い意味での地産地消
  心がけていますが、この松材(米松)は
  全て輸入に頼っているのが現状です。








   


土台の墨付け作業です。
建物の建坪が広いので、四寸角の檜材を使いました。
出場は天竜(静岡)だそうです。
芯の通った良材と思います。

   

土台の刻み作業です。材がやや生乾きですので刃物が良く切れます。
刃物に対して生意気な自信を持つときです。

材が生乾きなのは、乾燥状態ですと、暴れてしまい墨付けが出来ません。


   


今後、義務化されるであろう地質調査です。
5bの深度までの調査結果により、地盤改良の指導があるそうです。

こんな事に散財するよりは、近所の長老に聞いた方が確かです。
他所では谷底に洗濯機、自転車の埋設した造成地があります。
更地になっています。


    


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