職人さんの家を、多くの職人が創ります。
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職方さんの家を建てかえることになりました。
解体前の住まいは職人さんの家らしく、見るに耐えられないので
解体後から始まります。
長い付き合いの職人仲間が集まりそれぞれの特長を出し合い、
家作りが始まります。
技術も豊富ですが
勿論、予算も(豊富)?です。
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解体後の更地です。

地木の杉板板割りです。
破風板に加工使用と思います。
木肌に癖がありますが、風雪に良く耐えられます。

おおよそ、四十年前のエネルギー使用と同じ手刻みでエコな職人の住まいづくりが始まります。


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瑕疵保険施行されてから、義務ずけられた地質調査です。
地耐力は測定できますが、震災後、問題が発生した液状化は
判定できず他の測定方法を依頼するしかありません。施主さんの負担
は増加致します。

瑕疵保険業務による、配筋検査です。
年間建築棟数の少ない当社では、この工事内容に不正配筋など考えられない。完成棟数の多い住宅業者と根本的に持つ意識が違う。
この検査機構自体、明らかに天下り機構そのものです。
保険有効期間が十年間限りとは、施主さんを馬鹿にした制度です。
それ以上に、町場の大工を愚弄しています。
創業、八十年余りの当社は十年で瑕疵の発生する建物など提供した
覚えは微塵もない。

集成材と違い、各材に必ず癖が有ります、その癖に合った木拾いをしながら墨付けを進めます。各、加工した仕口が収まるのかは気になりながら進めています。

同じ大きさの横架材の切り口です。違いが解りますか?
左が建売りやハウスメーカが良く使用する材木です。
右側が当社の横架材です。
違いは木材の年輪の差です。
約、三倍の年個(年輪)が解ります。
当然、強度に差が出ます。
材種は米松です。残念ながら地松(国産)での購入は困難になり
つつあります。

使用中の電気道具は、三十年程前の工具を使用しています。
現在の作業工程でも何ら不便や効率の悪さは感じません。
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土間生コンの注入です。コンクリートの強度不足はこの時点で施工者が
(職人さん)体感します。
たとえ、生コン業者が不正建材を出荷してもホースからの流出量、粘度で理解できます。
基礎屋さんは、ほぼ、毎日の工事体験です。
要は、職人さんと私の信頼関係です。長い年月が必要ですが崩れることのない強固なものです。
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柱と土台を締結するためのホールダウン金物です。
この金物効果よりは土台、柱に彫り込むボート穴が部材に与えるのダメージの方が大きい気がするのですが?
これも、計算上の耐震計算だそうです。
今時、耐震性能は『地震に強い家』など売り文句にもならない程充実しています。

無事、仕口も収まりました。
一段落です。

少し前までは、広い現場でも手起しでした。
鳶職さんの『意地と力と業』で手起し上棟をこなしていました。
昨今、どんな狭い現場でもレッカーを無理やり設置し上棟します。
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土台ですが、加工初期には無かった乾燥によるひび割れです。
なるべく上面が割れるように木取りと墨付けをします。
まずは、読み通りです。

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土台も柱も伐採後の自然乾燥課程に発生するひび割れです。
強度上問題は発生していません。
以前、報道番組で大学教授が同様の案件を乾燥不足と指摘して
いましたが一級建築士が放つコメントにはあきれてしまいました。
こんな建築士が我々の前で机の上に家を建てているのです。
家は、土の上に建てるものです。
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階段の簓桁(ささらげた)の加工です。
大工にもそれぞれで得手、不得手な分野があります。
墨付けが得意な職人さん、刻みが得意な職人さん、削り物が得意な職人さん、
しかし、今は全て一人でこなさなければなりません。
材種はラオス檜です。生木の時は異臭を発していたのですが、
乾燥時には木質の匂いがしています。
日本の檜の匂いには遠く及びませんが。
しかし、内地の檜ではこれ程の材積、材質はなかなか見つかりません。
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本来、天井材ではなく畳下地の杉板ですが、削りあげました。
節だらけですが、生き節で赤身の無垢材の良さがでました。
屋根下地もコンパネを使用せず、杉板を使用しています。
単価は杉板の方が安価ですが?
わざわざ、海外から買い付ける理由が解りません。?

好みの問題はあるが、すべてにエコには変わりない。
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無垢材の施工にはやはり、手道具、手作業しかない。

節の大小、位置などは気にせず張り始めています。
節、赤身、木目もそれぞれの個性であり景色と思い
ランダムに施工しています。

本来、下地材ですが少し手を加えるだけで柔らかい素地を魅せてくれます。
何とも言えない優しさが、木の香と共にただよいます。


クロス張りが仕上げ建材として適、不適かは適材適所によると思います。
無垢材との兼ね合いがうまくいき、双方の良い所を発揮させるのも
施工側の責任と思います。
経験とゆう勉強はいつまでも続きます。

前記のラオス檜の階段材の取り付けです。
蹴込み板は床板の端切れを使用しました。
無垢材は無駄が多く出てしまう建材ですが、再利用の方法はたくさんあります。
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上棟時、検査に必要な金物です。
この金物施工では本来の在来工法の内装工事(真壁工法)が出来なくなります。
確かに強度が増すことは考えられますが文化との共存などはこの工法ではみえない。
金物の金額も高額になり、我々の手間賃の方が安価の金物もある。
我々も手間閑かける工事をしなくなった。
ハウスメーカから請ける工賃が余りにも少額で手を掛けられないのも事実です。
金物支給のハウスメーカーが増えてきたのも手作業の簡素化に進んでいるのも
事実です。
この程度の強度なら在来工法でも可能ですし、事実、検査は通過しています。

尾鷲材の杉の腰壁です。

この腰壁も自社製です。本来、縦張りですが長尺で作れましたので
横張りにあえて挑んで見ました。
少し、木質に個性が強すぎると思いますが、経年変化により
無垢材の落ち着きが現れます。
掛かっている白い紐は梱包の紐ですが、繋げて再利用します。
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足場が外れました。
前記の破風板が少し狭く見えます。
もう少し巾広でも良かったのかと反省しています。
軒の出も隣地と余裕があったのでもう少し伸ばしても良かったのかと思います。
まだまだ、未熟ものです。
現場経験を生かしていない事例です。

自然素材のオスモを塗布しているところです。
発売から、息の長い人気製品です。
自社では初めての工事で経年変化の様子が楽しみです。

ペンキ工事の戸当たりのマスキングです。
省略しても良い工程と思いますが、マスキングは塗装工事の基本と
頑なに手間閑を掛けています。
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見事な板金工事です。
無垢材と板金の持ち味を充分に表現しています。
百年住宅の基本です。
住宅メーカーでは実現は難しいでしょう。

姫松の地板と屋久杉の鏡板です。
地板の厚みが6pと少し部厚ですがそのまま使いました。
繊細さが失われますが田舎ぽっくて良しとしました。
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階段の踊り場と手摺り、自然光と無垢材とコラボ。



階段回りを真壁で漆喰仕上げを予定していたのですが、
建築金物が邪魔になり大壁でクロス仕上げにしました。
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和室は一部屋です。
二階にも和室が欲しかったです。



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無事、完成引き渡しが出来ました。
仲間内の仕事は、施主さんへの気遣いより、他の職人さんの目線が
気になりますが、今回の工事は実に充実したものでした。